野球スト

 取りあえずストが回避されたらしいが、なんとも下らない話だ。近鉄が残るか議論すると言ったって、その前の日あたりに、オーナー会議で合併が承認されているのだから、その舌の根が乾かないうちに選手会との間に再度議論すると言ったって、もう99%答えが出ているのに残りの1%に期待するして延期を決めた訳ではあるまい。恐らく此処で再度議論すると言ってやはり合併となれば、世論がスト決行に理解を示すと考えたのではないか。選手会とて一枚岩では無いのだから、ストによる債務不履行不法行為による損害賠償の請求をされてまでストを決行したいと思う選手は僅かだろう。

 個人的には選手会は嫌いだ。球団が赤字の中、合併が反対ならその解決策を提示すべきだが、変な野球好きの価値観に基づいた理想論しか言わない。ファンへの夢も無いものだ、現実的に球団を残すべく最良で短期に確実な方法があるとすれば、選手の年棒を球団が黒字になれる額まで下げれば良いのだ。だが選手はそんなことは口にもしない。問われても夢が無くなると言う。

 もっと言えば渡辺前オーナーが言った”たがが選手が”と言うのは暴言でもなんでもなく、至極当然な事だと思う。オーナーを会長、球団を会社、選手を労働者(商法で言う社員とは株主だ)と当てはめると如何だろう?。例えばUFJグループの1会社の1サラリーマンが、会長に東京三菱との合併を中止しろと言っているのだ、普通はありえない。
 さらに選手会がストを決行する勇気があるだろうか?ストの民事の免責は労働条件改善の争論で認められる事項だ。合併などの行為について、更に全然関係ない他球団の選手がそれに乗じてストなんてやったら、まず間違いなく債務不履行不法行為による損害賠償の請求をされる。その金額もさることながら、アメリカの大リーグでストによってファン離れがあったことを考えると実際に起こせるか疑わしい。

 何はともあれこの様な交渉と言うのは、いわばチキンレースだ。そして絶対有利なのは球団側だ、この騒動が落ち着くのは、選手会がどのあたりでレースを放棄するかで決まるだろう。しかし選手会があくまで意固地になるか、大局を見抜けないのなら両者ともに谷底に落ちる。そんなレースだろう。