振動モード カーブフィット

 カーブフィットの技法には、大まかに分けると周波数軸上でのフィッティングと、時間軸上のフィッティングが有る。どちらが良いかは減衰の大きさによるようだ。減衰が小さいと周波数軸での共振ピークは狭く、FFT分解能によっては数点しか捉えられないが、時間軸上では減衰波形が長く続く。
 更にそこから1質点系でみるか(SDOF)、多質点系でみるか(MDOF)、と分別できる。多質点系の周波数軸上でのフィッティング技法ではポピュラーらしい直交多項式法というのは、構造物の伝達関数は2次遅れ系の伝達関数を複数合成したもの、なので、何らかの手法で2次遅れ系の伝達関数に分解するというところまで判ったけど、それまで。何か良い資料はないものか。

 仕事で使う分には、多くは大型建築物しかやったことないので、時間軸上のフィッティング(複素指数法)の方が良さそうだ。この時間軸上でのフィッティングはRD波形のフィッティングにも使えると思う。はなから時間波形であるRD波形は良いとして、複素指数法は伝達関数を逆fftしてインパルス応答を得るという代物。数学的理論上では可能でも実際はどうなのさ?と思う。そこで1質点系のモデルデータで確認してみる。

 先ずは半値幅法とサークルフィッティングを適用してみる。大まかにだけど-4.1%位の減衰定数となった。

 次にサークルフィッティングを適用した周波数範囲だけを残して伝達関数を逆fftしてみる。インパルス応答が得られる。

 初期振幅と固有振動数は判っているので減衰定数だけパラメータを変えて一番誤差の少ない時がこれ。-4.4%と、半値幅法やサークルフィッティングと同じ値が出てしまう。正直もう少し真値に近い値が出ると期待していたのだが。


 気分を変えて2質点系の時間波形のフィッティングを試みる。不明なパラメータは2つの系の初期振幅と減衰定数。位相差はどうなのだろうと思ったけど共に共振点だから仲良く位相も90度ずれているだろうと思って考慮していない。元データは数式上で合体させた波形だが実際の波形を使うとどうなるかは不明。
 不明なパラメータも3つくらいならそんなに時間もかからないが、4つとなると相当かかる。

 Scilabに周波数応答フィッティングという関数があったので使ってみる。位相が反転しているけど周波数応答はよくフィットしている。でも求められた伝達関数がおかしい。

 なかなか難しい。